「20 世紀少年」(浦沢 直樹)と 9・11 同時多発テロ

「20 世紀少年」(浦沢 直樹)と 9・11 同時多発テロ

朝日新聞社「AERA アエラ」2006 年 4 月 5 日増刊号「AERA in FOLK」の「『20 世紀少年』対談 遠藤 賢司×浦沢 直樹」より。

遠藤 「ケンヂの歌」というのは、どんなふうに出来た曲なんですか。

浦沢 あれには、'01 年の 9・11 米国同時多発テロが関係してるんです。
あの日の夜、ロボット 2 体が街で対峙するシーンを描き上げて編集者に手渡した後、テレビを見るとニュース速報で高層ビルに飛行機が突っこんだ映像が流れた。
しばらく見ながら「このままの設定じゃ来週は描けないね」と編集者に言いました。
というのも、来週、対峙したロボットが闘って新宿の摩天楼が全壊したのち、20 世紀が幕を閉じるという設定で描く予定でしたから。
テロだと分かり、ニュースの悲惨な映像はもう見たくなくて、散歩に出ました。
その時、頭の中にあの曲がザーッと流れて「ああ、この曲を次回、追悼の歌にしよう」と閃いたんです。
そして翌週、秒読みの時計がボーンと鳴ったシーンで 20 世紀が終わり、次のカットに余白を付けて、カセットが再生されてケンヂがあの曲を歌い始めることにしました。

遠藤 “カレーの匂いがしてる”の歌詞は?

浦沢 あの日の夜、散歩してた時、夕餉のカレーの匂いなんかが街に漂っていて、とても寂しくなったんです。
ビルで死んでいった人も家に早く帰りたかったんだろうなという気持ちになった。

「ロボット 2 体が街で対峙するシーン」とは「20 世紀少年」第 8 巻第 2 話「ロボット」の p.40, 41 で、「秒読みの時計がボーンと鳴ったシーン」とは「20 世紀少年」第 8 巻第 3 話「ケンヂの歌」の p.49 の最後のコマでしょう。