朝日カルチャーセンター「<対談>マンガの神さまはどこにいる!?—脳と創造性—」

朝日カルチャーセンター「<対談>マンガの神さまはどこにいる!?—脳と創造性—」

2007 年 6 月 1 日(金)に、朝日カルチャーセンター「<対談>マンガの神さまはどこにいる!?—脳と創造性—」(受講料:会員 3360 円/一般 3990 円)が行われ、チラシには以下の紹介がありました。

科学は、1 千億の神経細胞による脳の驚異の創造のメカニズムを解明しようとしています。
漫画家の仕事は、キャラクターを生み、ストーリーを考え、コマ割りをし、表情や動作を描く、きわめて高度で創造的な作業。
漫画界のスーパースター浦沢 直樹氏と、気鋭の脳科学者・茂木 健一郎氏が、脳と創造性について語ります。

浦沢 直樹(うらさわ・なおき)
1960 年生まれ。
82 年、小学館新人コミック大賞(一般部門)入選。
83 年『BETA!!』(別冊ビッグコミック ゴルゴ 13)でデビュー。
『YAWARA!』で第 35 回小学館漫画賞受賞。
『MONSTER』で、第 1 回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞・第 3 回手塚治虫文化賞マンガ大賞・第 46 回小学館漫画賞受賞。
『20 世紀少年』で第 25 回講談社漫画賞・第 48 回小学館漫画賞・アングレーム国際漫画祭最優秀長編賞受賞。
『PLUTO』で第 9 回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞。
『YAWARA!』『MONSTER』が TV アニメ化、『Happy!』がドラマ化された。
他にも『JIGORO!』『踊る警官』など作品多数。
巧みな人間描写とスリリングなストーリー展開で国際的な人気を博す漫画界のスーパースター。
茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)
1962 年生まれ。
ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。
東京工業大学客員助教授。
東京芸術大学非常勤講師(美術解剖学)。
東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学理学系大学院物理学専攻課程修了。
理学博士。
『脳と仮想』(新潮社)、『スルメを見てイカがわかるか!』(共著・角川書店)、『脳内現象—<私>はいかに創られるか』(日本放送出版協会)、『プロセス・アイ』(徳間書店)、『クオリア降臨』(文藝春秋)、『「脳」整理法』、『クオリア入門』、『生きて死ぬ私』(筑摩書房)、『脳の中の人生』(中央公論新社)、『脳と創造性—「この私」というクオリアへ』、『目からウロコの脳科学—心と脳はここまでわかった!』(PHP 研究所)、『ひらめき脳』(新潮社)、『食のクオリア』(青土社)、DVD『プロフェッショナル 仕事の流儀』など著書多数。

浦沢さんは、茂木さんが司会を務める NHK 総合「プロフェッショナル 仕事の流儀」の第 38 回ゲスト(2007 年 1 月 18 日放送)でした。

ちなみに、長崎 尚志さんも、同番組第 67 回ゲスト(2007 年 11 月 6 日放送)です。

対談の内容を以下にまとめます(敬称略)。

  • 番組で会って対談を申込まれたとき、6 月であれば「21 世紀少年」(浦沢 直樹)は終わっている頃だろう、と思っていたが、実際は小学館「ビッグコミックスピリッツ」今週発売号から最終章が連載開始になった(浦沢)
    • 再開が遅れたのは編集部の都合
    • 原稿は先まで上がっているので、今描いている回を含め残り 4 回
    • 終われば夏休み
  • 番組では聞きたいことがたくさんあって、スタジオ収録に 4 時間掛けた(茂木)
  • ネームに取組む 2 日間は機嫌が悪いらしく、家族は近付かない(浦沢)
    • ネームの絵の方が感情が伝わることも多い
      • スピードがあるから
      • 人に見せるためにゆっくり描くとダメ
  • 宮崎 駿(同番組第 45 回ゲスト)も、考えているときは機嫌が悪いらしい(茂木)
  • 「ゆっくり描くとダメ」になるのは、無意識の運動に身体が追付かないのだろう(茂木)
  • 「巨大な宇宙規模の渦が実はミクロで……」という悪夢を 4, 5 歳の頃から見ていたが、マンガ家になってから見なくなった(浦沢)
  • 仕事モードに入るのは嫌(浦沢)
    • 新人の頃は境目がはっきりしなかったが、今はスイッチ 1 つという感じ
      • 何度もやっているうちに、できるようになった
  • モード切替は、脳内の結び付きを変えることによる人格変換を繰返しているのだろう(茂木)
  • 「20 世紀少年」(浦沢 直樹)や「21 世紀少年」のプロットは、長崎ととにかく話合う(浦沢)
    • お互いが持ち寄ったアイデアをぶつけるうちに、第 3 のアイデアが浮かぶ
    • 遠い記憶を手繰り寄せながら描いているので、アシスタントが大変
  • 商業的オブラートにより「YAWARA!」(浦沢 直樹)「PLUTO プルートウ」(浦沢 直樹×手塚 治虫)になるが、本質は同じ(浦沢)
  • 現在までに単行本を 100 冊以上出しているが、多作は質の低下に繋がらない(浦沢)
    • 時間があれば休むから、月 1 連載にしても 20 日くらいゴロゴロするだけだろう
    • 毎回 2 時間集中することは同じなので、仕事量と作品の質は無関係
  • 「MONSTER」(浦沢 直樹)の最終回のとき、編集者が撮影していたビデオを後で見たらひどい顔だった(浦沢)
  • ボブ・ディランは写真もイラストも、顔の向きにより表情が変わる(浦沢)
  • 人間だけが下らないことを欲する(浦沢)
  • マンガの歴史はたかが 50 年なのに、世代や性別による細分化が進んでいる(浦沢)
    • 「PLUTO プルートウ」は、若い読者にも手塚作品を読んでほしい、と思って描き始めた
    • 昔は、大人も子供も同じ作品を読んでいた
  • 登場人物が勝手に動くことがある(浦沢)
    • 将棋の桂馬みたいに面倒な動きをする奴もいる
    • 10 ページ掛かると思った展開が、1 コマで終わることもある
    • 日常生活の粗探しがキャラ作りの基本
      • 1995 年頃に珍しく同窓会に出席したら「あいつ誰?」という奴がいて、周囲に聞いても知らなかった→「20 世紀少年」
    • 「Happy!」(浦沢 直樹)の竜ヶ崎 蝶子は、自分の描いたことがない悪女キャラへの挑戦
  • 普段は、ドキュメンタリーやノンフィクション作品を見る(浦沢)
    • 映画や小説は、マンガ家の目で見てしまうから
  • 「ファウスト」(手塚 治虫)は読んでいない(浦沢)
    • 実は手塚作品をあまり読んでいないので、手塚ファンからは「お前が手塚を語るな!」と言われるだろう
    • 「陽だまりの樹」(手塚 治虫)が消化不良気味なのは、連載を抱え過ぎていたから
      • 週刊誌 6 本くらいで、あちこち落としていた
      • 月産 300 〜 400 枚(自分の最盛期で 130 枚くらい)
  • 編集部の注文に沿って描いた作品はない(浦沢)
    • 「Happy!」のときに「スポーツ物を」と言われた程度
    • 「すごいこと思い付いた。他人が描く前に描こう」で連載を開始する
      • ネズミの回転車が止まる恐怖
  • すぎむら しんいちいましろ たかし本 秀康漫☆画太郎エルジェの絵が好きだが、自分が彼らと同じ絵を描いても仕方がない(浦沢)
    • 自分の絵はこれで良いのか悩んでいる
  • 「MASTER キートン」(作:勝鹿 北星/画:浦沢 直樹)の続編は、いつでも描ける(浦沢)
  • 若い頃に「サラリーマン経験がないのに、サラリーマンを描けるかな」と言ったら、編集者に「それじゃダメだ。見たことも体験したこともないことを描くのがマンガ家だ」と言われた(浦沢)