小室 等の聞きたい聴かせたい

小室 等の聞きたい聴かせたい

2010 年 2 月 20 日(土)に、カタログハウス本社の本社ビル B2 で「小室 等の聞きたい聴かせたい (14)」(参加費 2000 円)が行われました。

  • 14:30 開場/15:00 開演
  • 出演:小室 等/浦沢 直樹
  • 先着 150 名

チラシには、以下の紹介がありました。

少女スポーツからサイコサスペンスまで、読む者をぐいぐい惹きこむ漫画でヒットを連発する漫画家の浦沢直樹さんをゲストにお迎えします。
音楽が大好きで、中でも 1960 年代、70 年代のロックに傾倒しているとのことですが、08 年に発表された CD『半世紀の男』には小室等さんが作曲した「12 階建てのバス」が収録されています。
この曲にどんなふうに惹かれたのか、小室さんに探っていただきましょう。
CD で実現したお 2 人の共演が、きょうはこの会場で再現されるようです。
どうぞご期待ください。

会場で、浦沢さんのファーストアルバム『半世紀の男』(限定版 4200 円、通常版 3000 円)のほか、ボブ・ディランについてミュージシャンの和久井光司さんと浦沢さんが徹底的に語り合う『ディランを語ろう』(1900 円)、画業 25 周年を記念して 08 年に発行された自伝的画集『漫勉』(3000 円)、手塚 治虫の傑作「鉄腕アトム」のリメイクに挑戦した『PLUTO』(豪華版 1 巻〜 8 巻、1400 円〜 1800 円)を販売しています。

また、小室さんとこむろゆいさんの父娘ユニット「ラニヤップ」が 09 年 12 月に発表したデビューアルバム『ここ』(2500 円)と、小室さん・及川恒平さん・四角佳子さん・こむろゆいさんによるユニット「六文銭 '09」の『おとのば』(3000 円)、ギターと谷川賢作さんのピアノだけでジャズ・スタンダードをしっとりうたいあげた小室さんのソロアルバム『NO GOOD WITHOUT YOU』(2500 円)の CD を販売しています。

◆小室等(こむろ・ひとし)
1943 年、東京都生まれ。
フォークグループ「PPM フォロワーズ」「六文銭」を経て、ソロ活動。
75 年、泉谷しげる、井上陽水、吉田拓郎と「フォーライフレコード」を設立。
これまで、谷川俊太郎ら多くの詩人、アーティストと組んだ音楽活動をつづけるとともに、ドラマ、映画、演劇へ音楽を提供するなど、幅広く活動をつづけている。
09 年、こむろゆいとユニット「ラニヤップ」を結成し、ファーストアルバム『ここ』を発表。
現在、精力的にライブ活動を行っている。
◆浦沢直樹(うらさわ・なおき)
1960 年、東京都生まれ。
83 年に『BETA!』でデビューし、『YAWARA!』『MONSTER』『PLUTO』など数々のヒット作を生み出す。
『MONSTER』と『PLUTO』で手塚治虫文化賞マンガ大賞を 2 回受賞している。
『20 世紀少年』は実写で映画化され話題になった。
現在はミステリー作品『BILLY BAT』(講談社『モーニング』)を連載中。
学生時代から断続的につづけてきた音楽活動を本格化し、和久井光司のプロデュースで 08 年に CD『半世紀の男』を発表した。

トークショーの内容を以下にまとめます(敬称略)。

  • 子供の頃、「20 世紀少年」のジジババの店のような駄菓子屋があった(小室)
    • 子供が 3 人くらい入ると満員
    • 店の親父は、左腕がなかった
      • 紙芝居屋と兼業で、右腕だけで紙芝居の道具を自転車に乗せて漕いでいた
    • 引戸を開けると、家や学校とは異なる非日常の世界だった
  • 数年前、NHK の取材(台詞逆輸入注:「プロフェッショナル 仕事の流儀」を指すと思われる)で地元の府中に行ったら、駄菓子屋の建物が残っていた(浦沢)
    • 出入口には板が打付けられていた
    • 当時、駄菓子屋の横には、府中国際劇場の上映作品のポスターを貼る場所があった
      • 映画産業が斜陽になり、ポルノ映画のポスターを貼るようになった
  • 「20 世紀少年」(浦沢 直樹)は現実と創作が混ざっているが、子供時代は実体験(浦沢)
  • 地元の東京都荒川区熊野前には、芝居小屋がたくさんあった(小室)
    • ストリップのようなものもあって、オーナーの息子と友達だったので見た
  • 秘密基地を自分たちで作ることもあったが、資材置場や銭湯の裏も利用した(小室)
  • 秘密基地の周囲の背高泡立草を編んで、他人が入れないようにした(浦沢)
  • 「MONSTER」は東欧が舞台だから多少間違えていても日本人には分からないが、「20 世紀少年」の子供時代はちゃんと描かねばならない(浦沢)
    • アシスタントが一回り以上若いので、当時の様子を知らない
    • 道路に歩道の白線が引かれたのは、昭和何年からか調べた
  • 自分で全部描きたいが、週刊連載ではそうも行かない(浦沢)
    • アシスタントは 4,5 人
    • 自分で思っていた背景とは違うが、アシスタントの背景もありかな、と思うこともある
      • 「PLUTO プルートウ」(浦沢 直樹×手塚 治虫)の未来のビルなど
    • 自身のアシスタント経験は 1 年
      • ペンの使い方やスピード線の引き方を教わった
    • 絵を見れば、ペン運びの速度が分かる
      • 自分だけでなく、プロなら分かるのではないか
    • 手塚 治虫の連載を読んで、今週は体調が悪いのかな、と思うこともあった
      • 手塚 るみ子(治虫の長女)にその話をしたら、「そんなの気にしていませんでした」と言っていた
  • 小学館「週刊少年サンデー」と講談社「週刊少年マガジン」が、2009 年に創刊 50 周年を迎えた(浦沢)
    • 週刊誌創刊の噂があった頃、マンガ家や編集者など現場の人間は、無理だ、と思っていたらしい
      • 藤子 不二雄 A によると、「月刊連載数本だけで、死にそうだった」
      • 出版社は、試しに週刊誌を創刊して、無理なら廃刊にすればいい、と思っていた
    • マンガ界の花形は週刊誌になったが、1970 年代後半から大友 克洋などが量産体制を疑問視し始めた
      • 自分は学生だったが、共感した
      • 現在は、週刊誌でも毎号連載とは限らない作品も多い
    • 日本のマンガが世界で評価されているのは、週刊誌があったから
      • 大衆文化には、大量生産が必要
    • 週刊連載を長年続けたが、左腕を机に付いて体重を掛けながら右手で原稿を描いていたので、左肩を脱臼した
  • マンガからは、遠ざかっていた(小室)
    • 「ゴルゴ 13」(さいとう・たかを)の連載が始まった頃、旅先で読んでいた程度
  • マンガと劇画の違いを説明すると、長くなる(浦沢)
    • 画風ではなく、ジャンルの区別
      • 「ゴルゴ 13」は劇画の代表のように言われるが、自分にとってはマンガ
      • 「子連れ狼」(作:小池 一夫/画:小島 剛夕)は劇画
    • 手塚は大友に対して「君の絵はマンガだ」と言ったらしいが、その通り
    • 頭の中の風景を絵にするのがマンガで、資料写真を絵にするのが劇画
  • 映画「20 世紀少年」は、堤 幸彦監督がマンガを完コピした(浦沢)
  • ボブ・ディランを初めて聴いたときは、よく分からなかった(小室)
    • 周囲が聴いているので聴き続けていたら、良さが分かった
  • 中学 1,2 年生の頃、吉田 拓郎がラジオでボブ・ディランの話をしていたので、聴き始めた(浦沢)
    • 最初は苦行だったが、やがて天啓のように分かった
    • 1997 年の東京国際フォーラムの来日コンサートの初日(台詞逆輸入注:2 月 9 日)に行ったら、斜め前の席が小室だった
  • 自分のマンガで場面が行ったり来たりするのは、上級者の読者に合わせている部分もある(浦沢)
  • 一番尊敬するマンガ家は手塚(浦沢)
    • 「鉄腕アトム」の「地上最大のロボット」は、自分の中央に鎮座するマンガ
      • 子供心に、とんでもないものを読んだ、と思った
    • 「PLUTO プルートウ」で、アトムの飛行シーンを描く度に切なくなった
      • 連載終了後に振り返ってみると、「科学の夢」を乗せて飛ぶ、というノスタルジーではないか
    • 手塚作品は、子供の読者と大人の読者で面白さが異なる
      • 当時、「罪と罰」(ドストエフスキー)をマンガ化すること自体が非常識
  • 長崎 尚志とは 25 年以上、お互いに納得するまで口論し続けている(浦沢)
    • 小学館の下の喫茶店で、別の編集者(台詞逆輸入注:鈴木 総一郎)に紹介された
      • 「面白いネタあるの?」と聞かれて、「朝起きるとウルトラマンになっていて、3 分で死んじゃう話があります」と真剣に答えたら、面白がってくれた
    • 最近は長崎も丸くなって、「浦沢マンガのファンだ」と言うようになった
    • 長崎は「YAWARA!」(浦沢 直樹)と「Happy!」(浦沢 直樹)には関わっていないが、長崎のいないマンガ家生活は考えられない
  • 今の自分には、月刊連載が丁度良い(浦沢)
    • 描き下ろし単行本だと、締切を守らなくても発売日を延期すれば済むので、いつまで経っても完成しない
  • 自分のマンガは連載で読んで、次号発売までワクワクしてほしい(浦沢)
    • マンガもドラマも、次回どうなるのか想像するのが楽しい
      • 単行本や DVD で一気に読んだり見たりするのは、受動的

浦沢さんが歌った曲は、以下の通りです。

  1. エンドロール
  2. 分倍河原の日が暮れる
  3. 新六文銭「十二階建てのバス」(小室さんと)
  4. Bob Lennon ボブ・レノン(小室さん・ゆいさんと)

17:00 終了予定でしたが、実際に終わったのは 18:00 でした。