「伊集院 光・日曜日の秘密基地」

「伊集院 光・日曜日の秘密基地」

TBS ラジオ「伊集院 光・日曜日の秘密基地」(日曜 13:00 - 17:00 生放送)2008 年 3 月 16 日(日)の 14 時台のコーナー「秘密基地 VIP ルーム」のゲストが浦沢 直樹さんでした。

  • パーソナリティ
    • 伊集院 光
  • アシスタント
    • 山内 あゆ(TBS アナウンサー)

対談内容を以下にまとめます(敬称略)。

  • 「PLUTO プルートウ」(浦沢 直樹×手塚 治虫)は、「こんなの面白いんじゃない?誰かやればいいのに」とポロッと言ったのが切っ掛けで始めた(浦沢)
    • 自分で笑っちゃうくらい馬鹿な企画だった
    • 気が付いたら、「手塚作品のリメイク」という重圧で体中にブツブツができるようになった
  • 連載を始める前に、イメージは漠然とでき上がっている(浦沢)
    • 「荒野に 1 人で立っている」「室内に 2 人が座って話している」などのシーンが浮かぶ
  • 狙い通りの展開にならないこともある(浦沢)
    • 一分の隙もなくちゃんと描いたつもりなのに、読み返してみると「○○の発言がおかしい」ということがある
    • キャラクターが勝手に動く
      • キャラクターは自分じゃないから、「俺だったらこうするのに」の連続
      • キャラクターが多ければ、自分とは違う行動が一斉に始まる
    • 「浦沢のマンガはダラダラ長い」と言われるが、キャラクターが作者に都合よく動かない
    • 難しく言えば「みんなが勝手にやるのが民主主義」だから、民主主義を作品で表現できたらよい
  • 爆笑問題の太田 光がプロデュースした立川 談志の落語「らくだ」(「笑う超人」収録)には、従来の「らくだ」にはない回想シーンがあり心が揺れた(伊集院)
    • 談志がその回想を入れた理由を太田に聞くと「何となく」で、「キャラクターが勝手に動く」ように主人公が談志に憑依したのではないか
  • 番組開始前にスタッフとフリートークの打合せを行うが、始まってみるとどんどんずれていく(伊集院)
    • ずれっぱなしはいけないが、ずれないのもいけない
  • 「大人なんだから、ちゃんとしなければいけない」が大前提で、暴走と制止を繰返すのがよい(浦沢)
  • テレビはつまらない番組があるから、寝るタイミングがあった(伊集院)
    • インターネットは無尽蔵だから、寝られない
  • 連載や番組を始めたら、責任を持たなくてはいけない(浦沢)
    • テンションが最高になるのは連載の途中
      • 謎を振りまいているときが一番面白い
      • 横溝 正史の小説でも、金田一 耕助の謎解きは短くてよいと思う
  • 「21 世紀少年」が終わったとき、「これでいいの?」と思った(伊集院)
    • 後で考えると、「ストッパー毒島」(ハロルド作石)の着ぐるみの正体が最後まで分からなかったのも 1 つの責任の取り方
    • 「展開を想像しているときが一番楽しい」には目から鱗で、「あの作品は楽しかった」と思っている
  • ラジオを 20 年間やって思うことは、「ラジオ的に面白いことって、残っているの?」(伊集院)
    • 新人にはいっぱい残っているが、自分は一通りやってしまった
  • マンガを描こうと思った切っ掛け(浦沢)
    • 「あしたのジョー」(作:高森 朝雄/画:ちば てつや)第 3 巻を親に買って貰えず、単行本の大きさに紙を切って自分で描こうとしたが、数ページで「これは違うんじゃないか」と思った
    • マンガを見て、「自分にもできるかな」と思った
      • 「地上最大のロボット」「ジャングル大帝」を親に与えられ、そればかり読んでいた
      • 親に「『少年マガジン』買って来い」と言われると、家に帰るまでに読む
    • 両親が図面を引く仕事をしていたので、ケント紙とペン先が身近にあった
      • 小学生の頃から、カラス口を使っていた
      • 小学 2 年生の娘もずっと絵を描いており、自分の子供の頃より上手い
  • 親は「寝ないでテレビを見ろ、ラジオを聞け」と深夜放送に寛大だった(伊集院)
    • 「お前が寝ている間にも、色々なことが起きている。何をしてもいいが、なるべく寝るな」という教育方針だろう
    • 寝ると、「本当に眠いのか?」と言われた
  • プロ野球選手の息子がプロ野球選手になるのは、遺伝より環境の要因が大きいのではないか(伊集院)
    • 親が絵を描いていると、その子供も絵が上手くなる
  • プロのマンガ家としての目標(浦沢)
    • 目標はあまり立てない
    • ローリング・ストーンズが爪先立ちしている写真を見て、「重みのない人になりたい」と思った
    • 「アマチュアには絶対手の届かない世界」と一目で分かる作品を作っていきたい
      • アマチュアとプロの差は、客の存在
  • NHK の番組を見ていたら、ミケランジェロが納期が遅れたお詫びに珍しい動物を 3 匹多く描いていて、最高峰の職人だった(伊集院)
    • ミケランジェロは、「でも、俺が誰よりも上手い」という自信も持っていた
  • 「読者を意識すること」と「読者に媚びること」の差は、読者を楽しませる気はあるが合わせない点(浦沢)
    • 読者にアンケートを取る訳ではないから、自分の中の読者
    • 2 ちゃんねるも見ない
  • 仕事の息抜きは、レコード拭き(浦沢)
    • 300 円くらいの中古盤を買って来て、専用液とクロスで拭くと虹色に輝く
    • 4 歳年上の兄は新品の自転車やローラースケートだが、自分はお下がりなので錆びを取ってピカピカにすると「俺の物」になった気がした
      • 新築の家も汚れたガラスを拭くと、「自分の家」になった気がする
  • 単行本にした最初の作品は、小学 3 年生のときに描いた「太古の山脈」(浦沢)
    • ノート 1 冊描いたが、友達にはあまり見せなかった
      • 自分の中の読者で完結
  • クラスの 40 人(友達)を相手にするのと、架空の 100 万人(自分の中の読者)を相手にするのでは差がある(伊集院)
    • 自分も中学生の頃に自分のラジオ番組を録音したが、友達にはあまり聞かせなかった
  • 今後の予定(浦沢)
    • 映画「20 世紀少年」は、堤 幸彦監督だから楽しみにしている
    • 「MONSTER」(浦沢 直樹)完全版は、内緒で少し加筆修正している
    • ファースト・アルバムをレコーディングしている
      • 昔からやりたかったが、やっと時間ができた
    • 画業 25 周年記念画集を 2008 年夏に発売予定
      • 倉庫からお蔵出し
  • 自分の中の読者で一番厳しいのは自分(伊集院)
    • 価値観は共有できるから、最後は絶対に救われる気がする
  • 「PLUTO プルートウ」の大きい単行本の存在は、とても良い(伊集院)
    • 印刷技術もマンガの地位も上がっているのだから、大きい単行本が良い