浦沢 直樹トークショー「手塚アニメはイチゴ味」
2008 年 3 月 19 日〜 23 日に、横浜ランドマークタワー 5F のランドマークホールで「—手塚 治虫生誕80周年記念—手塚治虫 FILMS 2008」(入場料:前売 600 円/当日 800 円)が行われました。
22 日には、浦沢 直樹トークショー「手塚アニメはイチゴ味」も開催され、チラシには以下の紹介がありました。
- 浦沢 直樹(漫画家)
- 1960 年生まれ。
1982 年小学館新人コミック大賞入選。
翌年『BETA!』でデビュー。
代表作は『パイナップル ARMY』『YAWARA!』『Happy!』『MONSTER』『20 世紀少年』他、多数。
現在、小学館ビッグコミックオリジナルに『鉄腕アトム』の一編である「地上最大のロボット」を原作とした『PLUTO』を連載中。
小学館漫画賞、講談社漫画賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞、文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞、アングレーム国際漫画祭最優秀長編賞など受賞。
トークショーの後には、浦沢さんが選んだ 3 作品が上映されました(説明はチラシより)。
- 「展覧会の絵」(1966 年カラーアニメ 39 分)
- 原案、構成、総監督:手塚 治虫
- アートディレクター:永原 達也
- クラシックの名曲に合わせてオムニバス・アニメが展開されて行く手塚 治虫版の『ファンタジア』といった趣の作品。
- 「バンパイヤ」第 1 話(1968 年モノクロ実写 22 分)
- 原作:手塚 治虫
- プロデューサー:今井 義章
- オオカミに変身してしまうバンパイヤ族の青年トッペイを巡る少数民族とそれを弾圧する人間との戦い、というきわめて社会性の高いテーマが印象深い作品。手塚 治虫自身が本人役で出演するのも話題となった。
- 「安達が原」(1991 年カラーアニメ 25 分)
- 原作:手塚 治虫
- 監督、絵コンテ、原画他:坂口 尚
- 刑星に送られる運命となった宇宙飛行士が、老女と出会い、命と愛の真実を見せつけられていく、という『ライオン・ブックス』に収められた短編マンガのアニメ化。
トークショーを以下にまとめます(敬称略)。
- 「展覧会の絵」について
- 1974 年、当時傾いていた手塚プロを支援するイベントが日本青年館で行われたときに上映された作品の 1 つ
- 入場料 500 〜 600 円
- 従来の手塚作品と異なり、客を意識しない素っ気なさにパンク・ロックを感じ、感動した
- 特に、ラストシーン(「キエフの大門」)には「これも手塚か」と別の本質を見た思い
- 音楽は冨田 勲で、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団
- 冨田は 1975 年にも、シンセサイザーで「展覧会の絵」を手掛けている
- ディズニー映画「ファンタジア」へのオマージュ
- 1974 年、当時傾いていた手塚プロを支援するイベントが日本青年館で行われたときに上映された作品の 1 つ
- 「バンパイヤ」について
- 上述の日本青年館で上映された作品の 1 つ
- プログラムにはなかったが、当日のファンの熱気で急遽上映することになると、ファンから喚声が上がり一体感があった
- マイケル・ジャクソン「スリラー」や映画「狼男アメリカン」(監督:ジョン・ランディス)を先取ること 10 数年
- トッペイ役は「相棒」の水谷 豊(台詞逆輸入注:デビュー作)で、手塚の出演も見所
- 先日、手塚 眞と話していたら「ロケをずっと見ていた」と言われ、羨ましかった
- 眞のヴィジュアリストとしての基礎が培われた
- 上述の日本青年館で上映された作品の 1 つ
- 「安達が原」について
- 中学生・高校生の頃、手塚絵を描いていた
- 「安達が原」も完全コピーしていた
- 「PLUTO プルートウ」(浦沢 直樹 × 手塚 治虫)第 3 巻豪華版付録の「羅生門」を描いた頃
- 監督とキャラクター・デザインは坂口 尚
- 最大のアイドル
- 手塚ファンも坂口ファンも唸る出来
- 坂口が急逝したとき、「もっと作品を生んだはず」と悔しかった
- 中学生・高校生の頃、手塚絵を描いていた
- 手塚について
- 第 1 種接近遭遇が 1 回あるだけ
- デビューして 1 本描いた頃、長崎 尚志に忘年会に誘われて帝国ホテルへ行くと、入口に手塚がいた
- 長崎は直前まで手塚の担当だった
- 手塚は長崎を見て逃げた
- 長崎は「もう担当じゃないです」と言ったが、手塚は「分かっている。今戻るから」と言い残して会場の人混みに消えた
- おそらく、手塚は仕事を抜け出して忘年会に来たのだろう
- 「格好いい。あんなマンガ家になりたい」と思った
- 自分は段取りして忘年会に参加するが、月産 600 枚の手塚は段取りどころじゃない
- 手塚は「うたたね 3 秒、仮眠 30 分、熟睡 3 時間」と言っていた
- 医者が言うことじゃない
- 「PLUTO」を描いていると、左斜め後ろに納得していない手塚を感じる
- 「浦沢氏、そうじゃないよ」と小言を言われそうだから、会いたくない
- 生前、若手をライバル視していた
- 「大友 克洋の絵は描ける」とエッセイに書いていたが、本当に描けるだろう
- 贅沢だが、自分もライバル視してほしかった
- 「浦沢は駄目だ」と書いてもらえたら、こんな幸せなことはない
- 第 1 種接近遭遇が 1 回あるだけ
- 手塚作品について
- いつでも見られる環境を作りたい
- ノスタルジーではなく、常に現在進行形で見るもの
- いつでも見られる環境を作りたい