ライムスター宇多丸さんと「20 世紀少年 第 1 章 終わりの始まり」

ライムスター宇多丸さんと「20 世紀少年 第 1 章 終わりの始まり」

TBS ラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」(土曜 21:30 - 23:30 生放送)の 2008 年 9 月 20 日(土)22 時台のコーナー「ザ・シネマハスラー」で、「20 世紀少年 第 1 章 終わりの始まり」を取上げていました。

  • パーソナリティ
    • ライムスター宇多丸

宇多丸さんの発言を以下にまとめます(敬称略)。

  • 原作を全く読まずに映画を観た
    • 浦沢 直樹のマンガは、「MONSTER」を途中まで/「パイナップル ARMY」「MASTER キートン」を数巻読んだ程度
    • 原作ファンが映画に満足したなら良いが、未読の観客に 2 時間 22 分は気が遠くなるほど苦痛だった
      • 30 分経っても 1 時間経っても何も起きない
      • 1 時間ちょっと経過して、ようやくコンビニが火事になった
      • 2 時間 22 分は間延びしすぎ
  • 映画を観賞してから、原作もこうなのかな、と第 1 巻だけ買ってみた
    • 原作通りの部分もあったが、原作の方が手際良い部分もいっぱいあった
      • キャストを脇役まで豪華にしたので、彼らを見せるために間延びしたのではないか
  • 浦沢作品をそんなに読んでいるわけではないが、語り口のテンポがうまい印象がある
    • 興味を持続させるのが上手
    • 「興味の持続」と「本当の面白さ」は別だが、連載マンガにおいては立派な才能
    • 原作に似ている配役やカットでも、テンポ感は台無しに近い
      • アニメ版「デトロイト・メタル・シティ」には、原作の速度感があった
  • 浦沢作品は風呂敷の広げ方もうまい
    • 「MONSTER」が典型だが、第 1 巻で「すごい」と思う
      • 着地には問題がある
    • 映画では、風呂敷も広がっていない
  • 堤 幸彦の監督としての手腕が悪い
    • 不細工な映画
      • カメラの動きやカット割りは、必然性がなく思いつき
      • 音楽が場面の説明
    • 原作のエピソードを詰込んだだけなので、未読の観客の興味は持続しない
  • ピエール一文字(竹中 直人)暗殺は、後で新聞記事が映るまで何だか分からない
    • 原作では、記事が先なのでまだ分かる
    • 竹中はいつもの面白い顔をしていて、演技プランにも問題がある
  • やっと起きた事件の規模が馬鹿みたいに大きく、バランスが悪い
  • 原作の「少年時代のノスタルジー」と「夢を諦めた現在の自分」の対比が、映画では描けていない
    • 子役はよく探した、と思う
  • 根本的な問題として、週刊連載マンガと映画は食い合わせが悪いのではないか
    • 連載マンガはキャラクターと設定に魅力があれば、いくらでも話は転がる
      • 人気があると、話が終わっても連載を続けなければいけない
      • 人気がないと、連載を終わらせなければいけない
      • 良いマンガほど連載をうまく終わることはできない
    • マンガは演繹的で、映画は帰納的
    • 監督は「原作に忠実に」と言っていたが、単に忠実ではいけないのではないか
    • 浦沢作品は、「風呂敷を広げた割にそれかい」という結末が多い
      • マンガ家としては優秀だから、話を続けてしまう
  • 「最初から 3 部作」は勘弁してほしい
    • テンポを 3 倍にすれば 1 本で済む
  • オウム事件の記憶が生々しく、世紀越え前の連載開始
    • 当時と現在のリアリティは別
      • 映画には切迫感を込めてほしかったが、“ともだち”というカルト集団がぼんやりしている